そしてあの夏がくる

嫁とは、高校二年のときに同じクラスになった。しかし、彼女と初めてきちんと会話をしたのは、彼女が廊下でプリントの束をぶちまけたときだった。心地よい声が耳に入るやいなや、私は恋に落ちた。
毎日が同じように繰り返される日々の中、彼女の存在は、私にとって救いだった。彼女と一緒に、同じ春を、夏を、秋を、冬を。何度も過ごしてきた。

彼女の好きなところは、恥ずかしがり屋だが、消極的でないところだ。
一度夢中になると、いつもなら人の目が気になって出来ないことをすんなりとやってのけるところも。
そして、自分の内気な性格をなおそうと色んなことに挑戦する姿も。
笑った顔も困った顔も、彼女が選ぶ言葉の一つ一つさえも。

また今年も夏がくる。
高校二年の、あの夏だ。
今頃彼女は、何をしているのだろうか。
私は、今日も彼女に思いを馳せる。

手に触れることも、私の名前が呼ばれることも、叶わないのですけれど。